皆さんは、「睡眠負債」というワードをご存知ですか?
米・スタンフォード大学の研究により生み出された概念で、
睡眠不足が日々続くことによりその不足分が借金のように積み重なり、
心身に悪影響を及ぼすというものです。
「睡眠不足」はその場限りの限定的な概念ですが、
「睡眠負債」の考えにおいては、不足分はやがて高い利子を生み、
返済するにはその何倍もの休養が必要になるのです。
睡眠負債を解消するには寝具の改善から
睡眠負債の返済は、研究が進むにつれて多くの方法が提示されています。
10分仮眠法、半身浴、カフェイン・アルコールをカットする方法など…
しかしそれ以前に、十分な休養が取れていないのは寝具のせいかもしれません!
睡眠においてついつい見落とされがちな寝具。
どれだけ色々な方法を試しても、
最適なアイテムを使用して寝ていなければ元も子も無いのです。
今回は、特に睡眠効果に影響の出やすい「枕」「マットレス」に焦点を当て、
選び方のポイントを挙げたいと思います。
枕
高さが1番のキーポイントとなります。
枕の位置が高すぎると首を痛め、肩こりやいびき、首痛の原因となります。
逆に低すぎると、頭に血がのぼり興奮状態が続いてうまく寝付けません。
また肩がつぶれる形になるため、これも肩こりの原因となります。
特に寝ている時、手を頭の下に敷いたり、
どうしてもうつ伏せ寝になってしまう方は要注意です!
高さ選びのポイントは3つ。
1.アゴが、立っている時と同じ自然な位置に来る
理想は額からアゴにかけての角度が地面に対して5度になること。
自然かどうか分からない場合は他の人にも見てもらいましょう。
2.首と枕との隙間が埋まる
頭に枕を当て(枕の端が肩口に来る辺りが適切な位置です)、
首と枕の隙間が埋まっていて、尚且つ首が圧迫されていない事が大切です。
3.首の長さと合っているか
枕の高さは合っているけれど、頭を置くとなぜかカクンと額が動く…
こんな時は、首の長さと枕の首もとの幅が合っていません。
首に圧迫感がなく、尚且つ首の隙間が埋まり、アゴも自然な状態になる…
上記の1.2の条件を満たしつつ、ご自身の首の長さと合う枕を探しましょう。
また枕の素材については多くのものがありますが、
取っ掛かりとしては扱いやすいフェザーか
高・低反発まくらから試してみる事をオススメします。
後者については通気性の問題がありますが、
最近では通気性の良い製品が出ているのでそちらが良いでしょう。
多くの人に合う枕が自分にとって良いものとは限りませんので、
もし合わなければ他のものも試してみましょう。
マットレス
マットレスは近年、数え切れないほど様々な種類が出されていて迷ってしまいますよね。財布と相談しながら、枕と同様に、売れている製品というよりも
自分に合った製品を選びましょう。
以下に、チェックポイントをいくつか挙げますので参考にしてください。
1.寝姿勢の良いもの
まずは仰向けになり、寝心地を確かめましょう。
素材が自分にとって柔らか過ぎず硬すぎないものを。
背骨のS字が自然に維持されているのが理想で、目安は腰の位置。
腰とマットの隙間が指2本ぶんほど空く製品が良いでしょう。
2.寝がえり、横向きの姿勢をとる
寝ている時の基本は仰向けですが、人間は寝ている間に何度も寝返りを打ちます。
寝返りしやすいか、横向きになっても快適かチェックすることをお忘れなく。
3.通気性が良い
通気性が良い事もとても重要です。いくら寝心地が良くても、
6~8月にかけての高温多湿の中で苦しんでいれば意味がありません。
カビの発生も危惧されるので、通気性の良い製品を選びましょう。
睡眠負債の程度はどうやって計算する
睡眠負債が増えると、認知症やがんにかかるリスクが上がると言われています。
自らに睡眠負債があるかどうかチェックするため、
最もポピュラーなもので「エプワース睡眠尺度」を使用してテストを行います。
以下の8つのシーンにおいて、眠くなるなら3点、時々眠くなるなら2点、
まれに眠くなるなら1点、眠くならないのなら0点をつけ、その合計点数を見ます。
1.座って読書をしている時
2.テレビを見ている時
3.人の多くいる場所で何もせず座っている時
4.一時間ほど、他の人の運転する車に乗せてもらっている時
5.午後、横になって休憩をとっている時
6.座って人と話している時
7.飲酒をせずに昼食後、座っている時
8.自分で車を運転中、渋滞や信号で数分間止まっている時
点数が多いほど睡眠負債が多く、11点以上なら要注意。
また、休日にいつもより何時間も長く睡眠をとってしまう方も要注意。
もし当てはまってしまったという方は、すぐに返済を始めなければなりません。
ちなみに負債といっても上限はあるため、
このような状態が既に長く続いているという方も、今からでも返済は遅くはありません。1〜2週間ほどで良くなるでしょう。
ポイントとしては2つ。
1.休日の寝だめに頼らないこと
2.睡眠の質を上げること。
1については多くの人にとっての盲点。
寝だめをすると何とかなりそうな気分になりますが実はそうでもなく、
むしろ生活習慣の変化による体内リズムの乱れを生み、
またそれだと平日のストレスが倍増します。
いつもの睡眠時間を前後30分~1時間増やすか、
できれば日付が変わる前に睡眠を取りましょう。
また、睡眠する時間を毎日揃えるのもコツです。
2は肝心です。
実質忙しく睡眠時間なんて取れないという方は、
その分特に気にするべきでしょう。
寝る前2時間の食事、テレビやスマートフォンの視聴、
その他大音量での音楽再生など体や脳にとって刺激となる行動は避け、
代わりにぬるめの湯船に10分以上浸かりましょう。
お腹がゆるくなりやすい方を除いて、ホットミルクを飲むのも効果があります。
まとめ
いかがでしたでしょう?
睡眠負債は貯めて常態化してしまえば恐ろしいものですが、
しかし毎日少しずつの気配りでいくらでも改善の効くものです。
本当に大切な日中のパフォーマンスを上げるために、睡眠を減らすのではなく、
増やすか効率を上げるという手段を取られる事をオススメします。