茶道には、本当に数多くの流派が日本中に存在します。
中でも、規模が大きく有名な流派は、表千家と裏千家です。
では、表千家の茶道と裏千家の茶道は、どんなところがどう違うのでしょうか。
ここでは、表千家茶道と裏千家茶道の違い、そして、表千家茶道の免状のことについてお話します。
表千家お茶道とは。裏千家との違いを比べてみた
表千家茶道と裏千家茶道の違いは、まず、お点前(てまえ)の流れです。
表千家茶道のお点前は、一切の無駄がないお点前が特徴です。
そのため、最初から最後まで、抑揚を全くつけずに、淡々と進んでいきます。
動きが止まってしまうことなく、川が流れていくように続くお点前なのです。
なので、茶道の本質である「無駄を極限まで削ぎ落す」ということを忠実に守っているお点前です。
一方、裏千家のお点前は、要所要所で、少し抑揚がつくことがあります。
例えば、見せ場になりそうなポイントになると、動きをピタッと止めたりします。
このようにすることで全体の流れに、意図的に緩急をつけているのですね。
又、お茶の点て方も、表千家と裏千家では全く違います。
表千家の場合は、できる限り泡立てないように、静かにお茶を点てます。
このように点てることで、抹茶そのものの味がガツンと強く伝わります。
裏千家の場合は、茶筅をシャカシャカと振ってお茶を泡立てます。
まるでカフェラテのような、クリーミーな泡立ちが特徴の仕上がりになります。
そのため、口当たりがとてもまろやかで優しいことが特徴です。
更に、表千家は、千利休の「わびさび」の精神を最も忠実に再現した流派です。
そのため、道具は全てシンプルなものを使います。
そして、昔のお点前をできる限り変えることなく、そのまま受け継いでいきます。
裏千家の場合は、「時代に合わせて臨機応変に変えていく」という点が特徴です。
そのため、時には華やかな道具や、前衛的な道具を使うこともあります。
又、正座が苦手な人向けに、「立礼」という椅子のお点前を作ったりもしています。
このように、表千家・裏千家には色々違いがありますが、優劣の差はありません。
言ってみれば、「何のために茶道に取り組むのか」というビジョンの違いと言えるでしょう。
表千家茶道の免状ってとるのは難しい?
では、表千家茶道を習い始めた場合、免状をとるのは難しいのでしょうか。
実は、免状そのものをとるのは、それほど難しくはありません。
茶道の免状は「この段階までの勉強が終了した」というものではありません。
表千家も裏千家も、まず先に免状を申請し、とってしまうのです。
そして免状をとると、その免状に明記されているお点前の稽古をすることが許されるのです。
言ってみれば、免状は、「次のお点前への通行手形」のようなものなのです。
なので、お金は必要になりますが、免状をとるだけなら比較的簡単です。
ただ、大変なのは、免状をとってからの稽古です。
免状をとり、その免状に明記されたお点前の稽古が進まないと、次の免状を申請できないからです。
実際に、上に行けば行くほど、お点前が複雑になってくるので、つまづく人も多いようです。
そのため、最後の免状をとるまでに、どうしても10年くらいかかってしまうことがあります。
但し、女性の場合は、男性よりも先に最後の段階まで行くことができます。
表千家茶道には、男性にしか許されていないお点前があります。
そのお点前の免状は男性しかとれないので、女性は、とらなければならない免状が1つ少ないのです。
なので、女性は、男性よりも少しだけ負担が少なくなりますね。
まとめ
表千家茶道と裏千家茶道は、お点前の流れやお茶の点て方、使う道具が全く違います。
表千家は、千利休のわびさびの世界を忠実に再現し、シンプルに徹しています。
一方、裏千家は、時代の流れに合わせて、臨機応変に対応するお点前が特徴です。
但しこれは、「どちらが良い・悪い」ではなく、芸術性の違いと考えてください。
又、表千家茶道で免状を、最後の段階までとる場合は、10年くらいかかることが多いようです。
又、女性は、とる免状が男性よりも1つ少ないので、男性よりも早く最終段階まで行くことができます。