嚥下力とは物を飲み込む力のことです。
嚥下力が弱くなると、物を食べるときにむせたりします。
また、人によっては、固形物を噛んでものみこめない、
食事に時間がかかる、食事をすると疲れる、
たんが出る、声が変わるなどの症状もあるそうです。
歳をとるとこの症状が出やすくなります。
嚥下障害によって食べたものが気管に入り、むせる、
それを繰り返すことで、肺炎を起こし、命を落とす方もいます。
また、これはお年寄りだけの問題ではなく、
小さいお子さんにも起こります。
今回は嚥下力低下の原因と対策についてご紹介します。
嚥下力はどうして低下してしまうの?
嚥下障害は先天的な要因によって、
生まれつき持っている場合があります。
また、脳こうそくなどの病気により、脳に障害がのこり、
それがたまたま食べ物を飲み込む神経に関係していて
嚥下障害を起こすこともあります。
しかし、多くはこれらの病気とは関係なく、
年齢と共に嚥下力が低下してきます。
原因としては「のどぼとけ」を持ち上げる筋力の低下です。
私たちの体はのどを過ぎた後で、気管と食道に分かれます。
気管は肺につながっていて、食道は胃につながっています。
食べ物は当然のことながら食道に胃に入らなければならず、
肺に入ると激しくむせます。時には命に係わる問題になります。
私たちはものを食べるときに、のどぼとけを持ち上げることによって、
気管の入り口をふさぎ、食べ物のすべてを食道に送り込みます。
若いうちはこののどぼとけを持ち上げる筋力が強く、
気管が完璧に閉じて、食道側の通り道が大きく開きます。
しかし、年齢と共にこの筋力がおとろえて、
気管が完璧に閉じなくなります。
そうすると、食べたものがスムースに食道に行かなくなります。
これが嚥下力の低下の原因です。
嚥下力が低下していると言われた!鍛える方法が知りたい
それでは、嚥下力が低下してしまった場合にはどうしたらいいでしょうか?
嚥下力の低下は、のどぼとけを持ち上げる筋力の低下によりますから、
この筋肉を鍛えることで症状を改善できます。つまり筋トレです。
筋トレと言っても、通常の筋トレをする必要はなくて、
のど周りに集中した筋トレを行います。
その方法は二つあります。
まず「舌の抵抗性訓練」。
これはスプーンや指などで舌を押して負荷をかけて、
舌の動く範囲を広げ、舌を動かす筋力を鍛えます。
最初は「おえっ」となるでしょうが、
鍛えてるうちにこれがなくなるでしょう。
舌を押すことを5回から10回を1セットに
一日3から5回行ってください。
次に「頭部挙上訓練」。
これは首の筋肉を鍛える運動です。
仰向けの姿勢でつま先を見るように首を持ち上げてそのまま我慢します。
1分たったら楽な姿勢にもどり、1分間休みます。
これを3回繰り返します。
そのあと、同じ運動を今度は上げた状態で我慢せず、
上げ下ろしを30回行います。
これを1セットとして一日3セット行います。
これによってのどの筋肉が鍛えられ、嚥下力が向上します。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
嚥下力の低下は年齢と共に誰にでも起きることです。
また、若い人で特に病気のない人でも
つゆだくの牛丼、かつ丼、麺類など、
汁気の多いものを食べるときにむせやすい人もいます。
嚥下力が低下していると言われた人もそうでない人も、
抵抗力の弱まった高齢になった時に重篤な嚥下障害を起こさないためにも、
常日頃から嚥下力を鍛えて健康で幸せな老後に備えましょう。