茶道の席で、
必ずと言って良いほど耳にするのが、
「おてまえ」という言葉です。
茶道を始めるにあたっては、
「おてまえ」についてよく知らなければなりません。
ところが、茶道の「おてまえ」には、
「お手前」と「お点前」の2つが存在します。
この2つは、同じように感じられますが、
実はちょっと違います。
そこで、茶道の「お手前」「お点前」について
詳しくお話していきます。
お手前についてきちんと学んで茶道を極めよう
茶道を極めるための第一歩は、
「お手前」についてきちんと学ぶということです。
では、お手前とは
どのようなもののことを言うのでしょうか。
お手前とは、
「炭を入れて、炉・風炉の中の
景色を作り上げていくこと」を言います。
そのため、お手前とは、
お茶を点てるという行為ではありません。
「炉や風呂の中に炭を入れたり、
炉や風呂の中の炭を整えたりすること」です。
炭は基本的に、素手で扱うことになっています。
火箸を使うこともありますが、
手で扱うことがかなり多いです。
「炭を扱うのは手を使う作業だから」という理由で、
「お手前」と名付けられたのです。
でも、「茶道はお茶がメインなのに、
なぜ炭のお手前を学ぶことが茶道の第一歩なの?」
と思うかもしれませんね。
ではここで、ちょっと想像を働かせてみましょう。
お茶は、茶碗や抹茶があるだけでは
点てられませんね。
そう、お湯がなければ、
お茶を点てることはできません。
そのお湯を沸かすために欠かせないものが、
炭なのです。
なので、炭なくしては、
茶道は全く成立しないのです。
釜の下に置かれている炭には、
残念ながら、華やかさはありません。
でも、茶道には欠かせない
「縁の下の力持ち」的な存在です。
だからこそ、茶道を極めるには、
炭を扱う「お手前」をしっかり学ぶ必要があるのです。
お手前とお点前とは? 茶道の基本はここから
炭を扱うものが「お手前」だとしたら、
「お点前」とはどのようなものなのでしょうか。
「お点前」は、お茶を点てる
ということを指しています。
「お点前」の漢字をよく見てみると、
「点」の文字が入っていますよね。
この「点」という文字は、
「お茶を点てる」の「点」です。
なので、それがそのまま名前となって、
「お点前」になったのです。
「お手前」と「お手前」について
まとめてみるとこうなります。
◆お手前→炭手前のことを指している。
その由来は、「手を使って行う」
ということから。
◆お点前→「お茶を点てる」という行為を指している。
その由来は、「お茶を点てる」の
「点」という文字から。
ちなみに、茶道を学ぶにあたっては、
お手前もお点前も両方大切です。
そのため、お稽古では、
この2つをバランス良く勉強していきます。
茶道においては、縁の下の力持ちである炭も、
「お茶を点てる」という行為も、
どちらも欠かせません。
どちらか一方が欠けたら、
成立しなくなってしまいますよね。
だからこそ、お手前・お点前の基礎を
しっかり学んでいく必要があるのです。
最近は、お教室の事情で、
炭を扱う「お手前」の稽古が
なかなかできなくなっています。
そのため、炭ではなく、
電熱器タイプの炉・風炉を使う
ケースも増えてきました。
でも、電熱器を使っていたとしても、
「茶道の土台は炭!」
と覚えておいてくださいね。
お手前・お点前の基本がマスターできると、
茶道の全体像を掴めるようになってきます。
そこからが、茶道の本当の面白さ
を知るスタートですよ!
最初は時間がかかりますが、
時間をかけて地道に勉強してみてくださいね。
数年後にはきっと、
「何かをつかめた!」という感覚になるはずです。
まとめ
「お手前」と「お点前」は、
似ていますが、実は違います。
炭を扱う行為は、
手を使うので、「お手前」です。
そして、お茶を点てる行為は、
「点てる」という漢字にちなんで、
「お点前」です。
そして茶道は、この2つのうち、
どちらが欠けても成立しません。
なので、茶道を始めたら、
お手前とお点前を
バランス良く学ぶことが大切です。
そうすることで、茶道の全体像が分かってきて、
勉強が楽しくなりますよ!